コロナが年末年始のモバイルショッピングにもたらす変化

2020-12-14

コロナウィルスが世界中で猛威を振るっています。そこで年末年始を前に従来と変わらない販売法を考えている小売店や各ブランドは、速やかに行動してデジタル戦略を準備する必要があります。ここ10カ月であらゆる業界がビジネスモデルの変更を余儀なくされたと言っても過言ではありません。なかでも小売業界は、新型コロナウィルスによる消費者の行動変容によって最も深刻な打撃を受けた業界の一つです。

実店舗で買い物をしようという人々の意欲は急激に落ち込み、スマホへの依存度が高まっています。このような中、これまでモバイルコマースをめぐる戦略に投資してきた小売業者は、年末商戦で大きな利益を上げることができるでしょう。

しかしモバイルコマースの戦略についてあまり考えてこなかったブランドの皆さんも心配することはありません。年末年始の準備をしてモバイル改革に参戦する時間はまだあります。

 

好業績が見込まれる年末年始及びそれ以降のモバイル商取引

レポート M-Commerce – Global Market Trajectory & Analytics(モバイル商取引世界市場の動きとその分析)」 は、モバイルコマースに携わる世界中の最有力ブランドを調査し、モバイルコマース市場は今後5兆1000億ドルの成長が見込まれると推測しています。このような市場拡大の波に乗りたいと考えるブランドは、すぐにでもモバイルコマース戦略への取り組みを開始する必要があります。

ただしここに書いてあることが全てではありません。App Annieの上級マーケットインサイトマネージャー Lexi Sydowは、このような成長は短期的にはもちろん中期的にも続くものと見ています。「2020年年末および2021年、モバイルビジネスを重視する企業は競合他社をしのぐ勢いで成長するでしょう。モバイルは事業収益拡大の大きな駆動力となるからです」

新型コロナウィルスによって人々がオンラインショッピングに走っている今、今年の年末年始商戦の成否のカギを握るのはブランドの認知度アップとオンラインでのメッセージ発信です。この点を念頭に置いて、的確な戦略をたて、それに基づいて効率の高いモバイルキャンペーンを計画して実行する必要があります。

 

モバイルコマースの成功に不可欠なブランドの認知度アップ

自粛期間中消費者は、お気に入りの愛用ブランドという姿勢にはっきり背を向けました。人々は必死に商品を求め、ブランドなど気にせず取り敢えず手に入るものを購入していました。トイレットペーパーのような生活必需品に関する報道の見出しは皆さん覚えていることでしょう。提供するサービス、便宜、商品を明確に伝える実用的なメッセージの発信を中心としたマーケティングに努力を傾けた企業が成功を収めたのです。

ブランドの認知度アップに大切な役割を果たす重要な要素は、複数販路の活用です。実際、オンラインで買い物する消費者の前にはかつてないほどの量の企業やブランドに関するコンテンツが提示されます。そしてそのほとんどがユーザーやインフルエンサーのレビューなのです。そのため、販売側はもはやこれを管理することなどできなくなっています。Pew Research の最近のレポートによると、何らかのソーシャルメディアを利用する人の割合は72%となっています。だからこそインバウンドマーケティングを複数販路に結びつけて行うことが非常に重要なのです。各企業はお客様が求める価値ある適切なコンテンツを時と場所によらず提供できなければなりません。

 

成功につながる提言

あらゆる形態、規模のブランドがモバイルコマース戦略を導入していますが、その導入の仕方には興味をそそられます。導入の要因は新型コロナウィルスだけではありません。モバイルデバイスがビジネスにもたらす新たな選択肢とチャンスも導入要因となっています。スキンケア商品を扱うSarah Akram Skincareは、新型コロナウィルスによって難局に直面しましたが、インスタグラムでバーチャル診断を行い、次いでお客様をオンライン店舗に誘導することで難局克服に成功しました。

 Kendra Scott、IKEA、Home Depoなどのように拡張現実 (AR)を実験的に利用しているブランドもあります。ユーザーはモバイルテクノロジーによって商品を試し、自宅で使ったらどんな感じか見ることができます。さらに別のやり方でモバイル戦略を展開したブランドもあります。 例えば米国のメイク用品ブランドPür は、潜在需要を掘り起こしウェブサイトに関心をもってもらおうと普段からサブスクリプション加入者に週2回SNSメッセージを送信しています。コロナで人々の気持ちが非常に敏感になった時期にモバイルコミュニケーションのトーンをより楽しく、「売り込み」のニュアンスが感じられないものへと変えました。その結果サブスクリプションの新規加入者は6週間で20%増加したのです。

ことわざにもあるようにピンチはチャンスです。賢明な企業が、多くのチャンネルを通してブランドが新たなオーディエンスの目に留まるよう野心的に取り組めば、収益は目に見えてアップするでしょう。そして新型コロナウィルスのパンデミックが続こうが終わろうが、モバイルデバイスがユーザー体験にもたらすあらゆる側面を活用していけば小売業界は成功を収めることができるでしょう。