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中国の動画広告プラットフォーム分析

YouTubeやNetflixがないことで、中国の企業は新しい動画アプリを提供し始めました。中国のオンライン動画のユーザー数はアメリカと日本の人口を合わせた数字より多く、大きな市場だからです。

中国のエンターテインメントリサーチ機関であるエントグループは、2019年に中国オンライン動画プラットフォームの登録者数が3億を超えると予測しました。そして、モバイルユーザーの5人に1人は自分のモバイルデバイスに動画再生アプリをインストールしていると発表しています。

エントグループの「2018年中国有料動画市場に関するレポート」という報告書によると、過去3年間で動画再生アプリのダウンロード数は119%増加しましたが、これは中国のインターネット利用者数の増加率である6.28%より、ずっと高い数値だそうです。

それでは、どのようなアプリが中国のユーザーたちに愛されていて、他の国と比べて何が違うのでしょう?中国市場の先頭を走っているアプリを掘り下げてみました。

アイチ (iQiyi) ― 中国版Netflix

多様な動画コンテンツを提供するアイチ

動画ストリーミングアプリであるアイチーイーは有料サービスですが、広告も出しています。NetflixとYouTubeの間といえば分かりやすいでしょうか。

ショートビデオアプリが人気を集める前まで、アイチーイーは中国最大規模の動画ストリーミングサイトでした。2019年1月の総視聴回数だけ6億4千5百万時間に達したというから驚きです。

アイチーイーは自社製作と版権購入により、様々なジャンルの映画、 TVシリーズ、リアリティーショーを提供しています。2018年、映像コンテンツの購入に31億3000万ドルを費しましたが、これは中国のCCTV、湖南衛星放送局、浙江衛星放送局、上海テレビ局、江蘇衛星放送局、北京テレビ局など、上位六つの放送局が費やした金額の合計と同等の金額です。それだけでなく、アイチーイーは「ラジオスター」、「本物の男」など、韓国バラエティープログラムの中国放送権を独占的に持っており、また250個のプログラムを独自製作し、中国内の影響力をますます強めています。

ティックトック(Tiktok) ― 15秒のマジック

若者に大人気のTiktok

 中国ではドーイン(Douyin)、中国外ではTikTokと呼ばれる、このアプリの人気は信じられないほど上昇しています。しっかりした動画を編集するためには長い時間がかかりますが、TikTokでは編集ツールで15秒程度で編集するなど、簡単に日常が共有できます。2016年リリース以降わずか1年で1億人のユーザーを確保しました。

TikTokユーザーたちはアプリで直接作った動画や音楽をフォロワーたちと共有します。ユーザーが口パク、ダンス、お笑い関連動画を投稿すると、いいねやフォロー数が増え、コメントを残り、投稿が共有されることは、他のSNSプラットフォームと似ています。しかし、老若男女がクリエイティブな映像をアップロードして、一緒に気軽に楽しむという面で、中国内の人気で右に出るものはありません。

日本でも10代から熱い支持を受けています。芸能人のTikTok映像が高い再生数を記録し、学生たちの間にはなくてはならないアプリになりました。

それだけでなく、全世界150カ国で5億人のユーザーたちが毎月TikTokを使用することでグローバル化しました。2018年上半期にはFacebook、YouTubeを超え、ダウンロード数が最も多いiOSアプリになって、現在ミレニアム世代たちを独り占めしています。

フォション(Huoshan) ― ニッチ市場を攻略した動画製作アプリ

フォションの様々な機能

中国のモバイル市場が巨大だという事実に議論の余地はありません。国内に10億人にせまるネットユーザーがいるのだから、明らかに世界最大規模の市場です。

こういった大規模かつ多様なユーザーたちがいるせいか、特定地域や都市によって人気アプリが異なるという特徴も持っています。ヨーロッパ内でも地域別に人気のあるゲームとアプリが違う場合がありますが、これと同様に中国では特定地域をターゲットとした動画プラットフォームがあります。

海外では 「Vigovideo」という名前でも知られているフォションは、中国の中規模都市に住む24歳から49歳の間のユーザーを主なターゲットにした動画再生アプリです。特定ユーザー層を確保できたのはアプリ内に記載されている位置設定タップのおかげです。タップにより、その都市にいるユーザーの映像を簡単に見つけることができます。小さい都市であれば地域的連帯感が強く、直接やりとりしたがるユーザーたちの特徴を利用しています。 

フォションは全体の市場を目標とする代わり、中国一部地域の成人需要層をターゲットにしたカテゴリーに範囲を限定することで、ニッチ市場を攻略することに成功しました。

クアイショウ (Kuaishou) ― 個性豊かなフィルターで勝負

人気ショート動画アプリ「快手」

フォション以外にも特定地域の攻略に成功した動画再生アプリがあります。それがクアイショウです。アプリで提供される吹き替え音声で表情演技をした映像が多くの話題を集めます。

クアイショウは2011年にGIFジェネレータとして初めて姿を現したが、この初期の戦略が成功の基礎となりました。ユーザーたちはクアイショウを通して動画のアップロードのみならず、ライブストリーミングもできれば、自分の映像にフィルターをかけることもできるし、カラオケのように活用することもできます。

このアプリは中国の大都市以外の地域に住むユーザーたちが好む傾向にあります。さらにロシア、トルコ、台湾、インドネシアでも人気を呼んで、毎日1億3千万人のユーザーが使用しています。これにクアイショウは中国アップルストアで二番目に人気の動画再生アプリとしてランクインしています。

クアイショウのこのような人気は、中国ソーシャルメディア企業の注目を集めるのに充分でした。去年、テンセント、アリババ、バイドゥのような中国の巨大企業たちが、クアイショウの今後の成長の可能性を信じて、投資をすることを決定したといいます。近い未来に、さらに発展したクアイショウを見ることができまね。

 ビリビリ (Bilibili) ― オタクのためのアプリ

ビリビリのホムペ

中国の動画プラットフォーマーたちが特定地域と年齢層を攻略して、成功した事例が多くあります。 一方でビリビリは、特定文化層を攻略するという戦略を見せています。

アニメオタクのためのコンテンツという特徴もアプリの成功に一助しましたが、また違う要因としては、「ブリットスクリーン」という機能が挙げられます。ユーザーたちが動画につけたコメントがブリットのように画面を横切って飛んでいきます。この機能はユーザーに面白いソーシャル活動を誘導したと見なされます。

もとは日本の動画ウェブサイトのニコニコ動画で提供していたサービスですが、これを中国で初めて試みたのはビリビリです。2014年に初めて登場したブリットスクリーンは、チャット機能をダイナミックにし、同時コミュニケーションに重点を置いて改善したものです。

新しい機能の投入により、ビリビリは比較的小さな会社がどのように全分野にわたって革新を呼び起こすことができるかを見せました。

テンセントビデオ (Tencent Video) ― ムストリミングまで提供

テンセントビデオのホムペ

テンセントビデオは中国のIT企業であるテンセントからリリースされたアプリで、中国で10番目にダウンロード数の多いモバイルアプリです。

なぜテンセントビデオは人気を集めているのでしょうか。答えはとてもシンプルです。それはウィーチャットのおかげです。ウィーチャットは世界最大規模のメッセンジャーSNS アプリであり、日本のラインに似ています。ウィーチャットは中国人のモバイルポータルと呼ばれており、ウィーチャット掲示板に動画を載せるには必ずテンセントビデオをダウンロードしなければなりません。

安定したプラットフォームを持つというだけで、テンセントビデオが成功したわけではありません。このプラットフォームではアメリカのHBO放送シリーズ、テンセント独自制作ドラマなど、 ストリーミングできる有料コンテンツを通じ1億人以上の有料会員を集めたこともありました。また、テンセントゲームを通じて、ライブゲームストリーミングサービスまで提供して、ゲーマーたちの心を鷲掴みにしました。

ヨウク(Youku) ― 国版YouTube

ヨウクログイン画面

ヨウクーでは毎日8億本以上の動画がユーザーにより視聴され、1ヶ月に5億人以上のユーザーが実際にサービスを利用しています。ヨウクーはビジネスを始めた頃は韓国、日本などの海外ドラマのコンテンツを無料ストリーミングで提供し、多くのユーザーを確保していました。

最近ではテンセント、アイチーイーと同じように競争力をつけるために有料会員システムを導入していますが、去年1年間の売上の源はFIFAワールドカップのストリーミング権利を確保した後行われた有料化だと言われています。

ヨウクーは2020年、オリジナルコンテンツに増資する計画を持っていて、アリババピクチャーズによる製作を期待しています。また、NBCユニバーサル、ソニーピクチャーズTVとライセンス契約を結んだヨウクーは、ハリウッドクラシック映画を中国で発信すると見られています。

動画プラットフォームの継続的な変化

中国の動画再生アプリは、ものすごい可能性を持つ市場として、これからもますます大きくなると予測されます。これはアプリマーケティング担当者に様々な機会を提供すると同時に、克服すべき課題を残してくれました。 

ショートビデオアプリが爆発的な人気を集めることで、中国政府は該当プラットフォームたちに6月までスマホ中毒の防止を目的とした、子ども保護機能を設けることを要求しました。中国の巨大消費層を相手にするオンライン動画サービス企業はこういった点を考慮して、新たなマーケティング戦略で市場のユニークな生態に適応しなければならないとされています。

テキストとイメージから動画にユーザーの関心が移ったのと同時に、国内でも動画プラットフォームまたはコンテンツを強めようとする動きが大きくなっています。日本はAmazon Prime, YouTube、Netflix、TikTokのような海外サービスに首位を奪わわれましたが、Yahooとラインの合併では、コンテンツ事業を強化する予定だと発表されました。

国内外動画プラットフォームの新しい変化にユーザーたちがどんな反応を見せるか、これからの動画再生アプリの行方を皆が注目しています。

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