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中国ゲーム会社のコロナ後のグローバル戦略

中国の複雑な規制と固有の文化的ニュアンスは、Nativexのような企業と提携することなくその市場へ参入するのを常に難しくしていました。その結果、中国国内のパブリッシャーが中国以外のパブリッシャーから受ける競争圧力が小さかったことはほぼ間違いなく、それが中国国内のパブリッシャーの台頭に役立ってきました。また、それらのパブリッシャーがTencentやNetEase、Lilith Gamesのような大手パブリッシャーの支援を得て、中国の知的財産に対するオーディエンスを世界中で増やすことも問題ないはずです。結果として私たちは、より多くの中国のゲームブランドが、十分な自信を持ってその知的財産を海外で商品化して宣伝するのを見ているのです。

しかし、それが唯一の理由ではありません。最近のコロナウィルスパンデミックも、中国のモバイルデベロッパーやパブリッシャーは急速な成長を持続するチャンスと捉えています。例えば中国のTencentの2020年第2四半期の業績はアナリストの予想を上回り、COVID-19にもかかわらず前年比38%の増益となる53億ドルの黒字となりました。

Tencent 38% year-on-year growth Nativex

出典:Tencent

モバイルでの消費、エンゲージメント、コミュニケーションは、パンデミックとそれに続いて起こったロックダウンのおかげで、世界中で飛躍的な増加を見せ、その結果モバイルデベロッパーやパブリッシャーは2020年上半期を通してプラス成長を果たしました。Tencentのような企業が現状維持を望むことはなく、その勢いを維持して2020年第2四半期がパンデミックに関連する一時的な成功ではなかったことを確実にしようとするでしょう。

パンデミックの勢いが鈍化する中で、新たな国際市場をターゲットにするよりも優れた成長のための方法とは、どのようなものでしょうか?

 

中国のパブリッシャーが先導役を果たしている

Sensor Towerによると、『PUBGモバイル』は2020年第1四半期において米国市場で最も売上の多かったゲームの1つでした。

『ゲーム・フォー・ピース』は中国でも素晴らしい成功を収めていますが、もしコロナウィルスパンデミックと世界中のロックダウンがそれほどひどいものでなかったとしても、Tencentは2020年第2四半期において38%の成長を達成できていた可能性が高いでしょう。

App Annieの トップ52パブリッシャー ランキングを見てみましょう。このランキングはアプリデータ専門企業による年次アワードで、iOSとGoogle Playを合わせた推定収益に基づいて世界の上位モバイルパブリッシャーを評価するものです。

2020 top 10 publishers by revenue - App Annie - Nativex

出典:App Annie

これは、中国本土を越えて中国パブリッシャーの成長の状況を判断するための優れた方法です。特に、中国にはGoogle Playが存在せず、iOSストアは中国のモバイル市場で見られる膨大な数のさまざまなAndroidストアから大きく遅れをとっているため、なおさらです。

App Annieの2020年トップパブリッシャーアワードでは、アジアに本部を置くパブリッシャーがトップ52のうち半分以上の27を占め、ランキングを支配しています。「トップ10」にも5社が入りました。

全体としては、TencentとNetEaseがそれぞれトップ52の1位と2位になり、海外モバイル市場の先駆者であることを証明しています。また、トップ52の中にはLilith、37games、Yotta Gamesなどの新星も含まれています。

しかしながら、おそらく最も興味深いのは、トップ52の22位にランクした中国のFunPlusの話でしょう。ランキングは中位ながら、 App Annieによれば海外から生み出した収益に関しては中国でナンバー1のパブリッシャーです。しかし、彼らは何者でしょうか?

 

FunPlusの驚くべき国際戦略

FunPlusは実は10年前から存在しているのですが、中国では小規模なパブリッシャーとして認識されています。(事実、本国ではTencentやNetEaseが完全に支配しているため、実に多くのパブリッシャーが小規模と見なされています。)

本国では小規模なパブリッシャーとして限られたシェアしか持たないFunPlusは、注力の方向性を国際市場に絞ることを決意し、その結果として200以上の国々から1億人を超えるプレイヤーを引きつけることができました。Nativexは専門的なデータ主導型ツールや分析ツールを使って彼らがそれを行うのを助け、長期的なブランド擁護者となり成長の可能性を押し上げる新たな海外オーディエンスをターゲットにしたクリエイティブキャンペーンを構築しました。

FunPlusのゲームライブラリーには、『キング・オブ・アバロン:ドラゴン戦争』『ガンズ・オブ・グローリー』『ステイト・オブ・サバイバル』などが含まれます。同社のゲームの中には明らかに「西洋」スタイルのものもあり、高い魅力を持ちます。例えば『キング・オブ・アバロン』は、「アーサー王と円卓の騎士」の伝説をベースにしています。2016年にリリースされた『キング・オブ・アバロン』は、2018年8月までに中国以外で3億8,000万ドル以上を売り上げました。ゲームの収益の42%が、米国からもたらされたものでした。

Funplus Game of Avalon - Nativex client

出典:FunPlus

FunPlusのアプローチにより、ゲームは特に北米や欧州市場で受け入れられました。そのおかげで収益面で競合他社にひそかに追いつき、母国では比較的小規模なままトップ52ランキングに入るまでに成長することができました。

魅力を高めるだけでなく、ターゲットにしている海外市場と文化的な関連性のあるものにもするFunPlusのアプローチは、成功の鍵となってきたものであり、中国市場への参入を目指す海外のデベロッパーやパブリッシャーが注目する必要のあるポイントです。言語や文化的ニュアンスは中国の至るところで大きく異なっており、それに合わせて自分たちの知的財産を調整する者こそが、中国のモバイルオーディエンスにより多く採用されるはずです。

 

Nativexがドラゴンラージャの世界制覇を支援している方法

Nativexが世界の注目を集める手伝いをしている中国のデベロッパーは、FunPlusだけではありません。

NativexはZulong Entertainmentとも協力し、その代表的なモバイルタイトルの1つ『ドラゴンラージャ』を中国全土で宣伝しただけでなく、広告投資に対してはっきりと目に見えるリターンを得てきました。

『ドラゴンラージャ』は韓国のベストセラー小説をベースにした、美しいグラフィックのモバイル3DファンタジーMMORPGです。Unreal Engine 4で製作された『ドラゴンラージャ』は、Unreal Open Day 2019で「最も期待されるゲーム賞」を、第16回IMGAでは「ベスト5Gゲーム賞」を受賞しました。

出典:ドラゴンラージャ

NativexはZulong Entertainmentと提携し、欧州、カナダ、および米国で地域横断的な宣伝活動を実施しました。

Nativexのツールを使って適切なデータを集め、複雑な市場分析を実施することで、エンゲージメントを最も推進する『ドラゴンラージャ』の3つの最高の機能が、3D効果、キャラクターカスタマイズツール、および戦闘メカニズムであることを発見しました。

それら3つの要素に重点を置くことで、Nativexは一連のクリエイティブマーケティングキャンペーンを作成し、さまざまなプラットフォームでそれらをA/Bテストしました。

最も成功したキャンペーンはキャラクターカスタマイズの要素を中心にしたものだったため、多種多様なキャラクターの顔と、ゲームのさまざまなレベルで登場するコスチュームを取り上げたクリエイティブキャンペーンに集中し、ROIを押し上げました。

このことは、「アニメ」「JRPG」「RPG」「eスポーツ」「Twitch」など特定のキーワードに対するリターンを確認した後で行われ、最も成果の上がったキャンペーンと適切なオーディエンスを組み合わせました(例えば、SnapchatはTwitterよりも多くの女性ユーザー層を持ちます)。

Nativexの行ったテストは、SnapchatとTwitterが最高のROIをもたらすチャンネルであることも示しました。Nativexは両方のチャンネルのそれぞれのデモグラフィックに対し、異なるクリエイティブキャンペーンを作成しました。例えば、アニメ好きにはアニメスタイルのカットシーンを、女性ファンに対してはよりロマンチックなスタイルの広告を提供しました。

その結果は、3つの国際的なターゲット領域であるカナダ、米国、ドイツの全てで素晴らしいものとなり、『ドラゴンラージャ』は海外リリース後30日間で270万回ダウンロードされました。

 

世界的な野心と買収

FunPlusとZulong Entertainmentがそのゲームで中国以外のマスマーケットの注目を生み出すことに集中する一方で、TencentとNetEaseは全く異なる方法でグローバル市場に参入しています。

彼らのゲームが海外で上手く行っていないというわけではなく、むしろその逆です。しかしTencentとNetEaseは、他の方法によって海外で足がかりを得るための、マンパワーと財務能力を持っています。その方法とは、買収です。

『PUBGモバイル』は、2020年7月の世界で最も売り上げの多かったゲームでした。Tencentはその収益を新しい方法に再投資しているため、パンデミック後の世界でも立ち止まることはありません。

Tencentがこれまでに世界中で行った投資や買収のほんの一部が、PC Gamerのよくできたリスト に掲載されています。その中には、UbisoftとActivision Blizzard両方での5%の株式保有、フィンランドのデベロッパーSupercellの84%の獲得、および日本のプラチナゲームズへの未公開の額の投資が含まれます。

後者2つの投資は、Tencentが買収の標的を非常に慎重に決めていることを示しています。Tencentは単にゲーム開発の次の逸材を飲み込むことではなく、さまざまなグローバル市場における足がかりを求めているのです。

Tencentは『トゥーンブラスト』や『トイブラスト』を開発したトルコのモバイルスタートアップPeak Gamesにも関心を示していると噂されています。また最近では、フランスのモバイルゲームデベロッパーVoodooにも資本参加しました。

このアプローチは非常に計画的で、中国が世界のモバイルゲーム経済をいかに真剣に取り込んでいるか、そしてコロナウィルス後のアジアのデベロッパーやパブリッシャーにとって世界的なアプローチがいかに重要であるかということを示しています。

中国はゲームだけでなく、国際的なモバイル市場の仕組みに対する鋭敏な感覚でも世界を席巻しているのです。