1. 劇的な成長を遂げたグローバルモバイル市場には、さらなる成長の余地も残されています
この10年で、モバイルソフトウェアは劇的な成長を遂げました。このセクターが、わずかなユーザーに向けてニッチな機会を提供していた時代は去り、ユーザーと外の世界をつなぐ主要手段へと確実に成長しつつあります。
Newzooのレポートでも述べられているように、モバイル市場は巨大な市場機会を提供しています。モバイルアプリとゲームは、世界中で30億人を超えるユーザーの日常的な利用により、毎年921億ドルもの収益を生み出しています。
モバイル市場はすでに重要な市場となっていますが、Newzooの調査では、同市場は今後もさらに大きく成長していく可能性が高いことが示唆されています。たとえば、スマートフォンユーザーのうち、ハイエンドデバイスを利用しているのは27.1%に過ぎず、同市場に収益拡大の余地が残されていることがわかります。
また、スマートフォンのユーザベースはさらに拡大しており、Newzooは2021年までに約40億人がスマートデバイスを使用するようになると見込んでいます。こうしたことから、このセクターにさらなる成長の余地があることは明らかで、同市場の今後の見通しを明るくしています。
2. AppleとSamsungが圧倒的優位であるものの、中国の携帯電話メーカーも右肩上がりに成長しています
AppleとSamsungはグローバルスマートフォン市場で圧倒的な地位を確立しており、市場シェアはそれぞれ26.8%、24%を占め、世界中で約16億もの人々が両社のデバイスを利用しています。
こうしたAppleとSamsungの独占的状態に、多くの中国メーカーが挑んでいます。Newzooによれば、トップ10スマートフォンブランドの半分が中国メーカーであり(Xioami、Oppo、Vivo、Huawei、Lenovo)、市場シェアの34%を占めています。
当然ながら、こうしたブランドが今すぐSamsungやAppleを追い越すことはないでしょう。しかし、中国メーカー勢は手頃な価格のハイエンドモデルの展開により、インドや中国のような成長市場で支持を受けており、市場シェアは今後さらに拡大していくことが予想されます。
3. Tencentの事例が指し示す、iOSアプリとゲームで成功を収めるうえでの中国の重要性
iOSは西洋で生まれたかもしれませんが、iOSのソフトウェアの最大の強豪は中国最大のテック企業です。
Tencentは多くのカテゴリーでiOSの今後の成り行きを左右しています。同社は、モバイルゲームにおいて圧倒的な収益性を誇っており、2018年前半には20億ドルもの収益を上げています(同社の過去最大の買収であるSupercellの収益は、この数字に含まれていません)。
しかしながら、TencentはiOSアプリ市場にも積極的に進出し、好調な業績を上げています。Tinder、Google、Netflix、HBOなどの世界的な大手アプリを相手にしなければならないものの、Tencentは強力なWeChatのプラットフォームにより、中国の消費者とデジタルエコノミーの架け橋的存在として機能しており、2018年上半期において売上トップを誇るアプリ企業となっています。
興味深いことに、TencentはGoogle Playのゲームやアプリの売り上げトップ10にはランクインしていません。この理由は明白で、中国では規制のためGoogle Playが事実上利用できないためです。つまり、TencentのAndroidの収益は、別のルートから生まれているということになります。
しかしながら、このことは言い換えれば、中国においてTencentは、iOS単独で莫大な収益を上げているということです。また、こうしたことから、中国市場は全世界のアプリやモバイルゲームのエコノミーにおいて非常に重要な存在であり、今後もさらなる成長のチャンスを提供してくれる場であるといえます。
4. モバイルゲームとPCゲームの垣根はなくなりつつあります
本レポートでは、世界的なトレンドとして、モバイルゲームとPCゲームの垣根がなくなりつつある点が挙げられています。
Razerのようなゲーム向けの新世代スマートフォンが登場し、Amazon GameOnのようなサービスから、人気モバイルゲームが登場したことで、筋金入りのモバイルゲーマーの好みに変化が生じつつあります。
ゲーマーは、最適化したコアループでシンプルに楽しめるモバイルゲームではもはや飽き足らず、人気PCゲームの移植版のような複雑なモバイルゲームを好むようになっています。
中国では、Honor of Kings (Arena of Valor)が、売り上げトップを誇るモバイルMOBAゲームです。これは、PCの人気タイトルであるLeague of LegendsやDOTA2にあたるようなジャンルです。
ヨーロッパと北米でリリースされたFortniteのモバイル版は、異なるプラットフォーム間でのクロスプレイのオプションを備えており、デバイス間の障壁がより低くなっています。
そして、最近のRome: Total War、Football Manager Touch 、Prison Architect といったPC戦略ゲームのモバイル移植は、最近のモバイルデバイスが、プロセッサー負荷が大きいタイトルを実行するための十分なスタミナとハードウェア要件を備えていることを証明しています。
こうしたことから、PCゲーム開発者は、今後数年にわたって、モバイル市場に新たな機会を見出すことができる可能性が高いといえます(逆もの場合もまた同様です)。