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中国におけるAndroid市場の分析

eMarketerによると、中国のインターネットユーザーは毎日4時間近くオンラインを利用しています。これはアメリカに続いて世界で2番目となる長さです。さらに、中国のインターネットユーザーのうち98パーセントがモバイル端末からインターネットへアクセスしています。このため、アプリ開発者とマーケターの両方にとってOS市場が重要なものとなっています。

また、中国ではAndroidが一人勝ちの状態となっています。Statcounterによれば、Androidは中国市場の70パーセント以上の割合を占めているといいます。中国には7億人近いスマートフォンユーザーがいることを考えれば、中国のAndroid市場は巨大であり、広告主にとっては素晴らしいチャンスがあるといっていいでしょう。

しかし、中国のAndroid市場はグローバルな市場とは完全に異なるものとなっています。中国市場ではGoogle Playが禁止されていることから、様々なAndroidのストアが登場することになったのです。

中国のAndroid市場における課題とチャンスはどのようなものでしょうか?どのストアが最も大きいのでしょうか?各ストアはそれぞれどのように異なるのでしょうか?中国におけるAndroid市場の分析をご紹介いたします。

 

中国Android市場のチャンスと課題

中国のAndroid市場は巨大ですが、様々なストアがサービスを提供しています。中国のユーザーはモバイル端末を使い、様々な方法で料金を支払い、サービスを利用しています。中国へ初めて参入するデベロッパーにとって、このことはAndroid市場における難題を突き付けることになります。

自社のタイトルを同時に複数のストアでリリースしたり、そのために適切なSDKをゲームやアプリへ統合したり、アプリを中国のデジタルエコシステム(中国国内で発展したソーシャルメディア市場や広告ネットワークなど)へと連動させるための方法を考え出す必要があります。

しかし、そのハードルを乗り越えさえすれば、中国のAndroid市場は他の場所ではまず実現できないようなチャンスを提供してもくれるのです。

XiaomiやHuaweiなどの携帯メーカーはどちらもストアを持っています。ですが、それぞれのストアは両極端のユーザー層へとアピールしています(Xiaomiは低価格帯、Huaweiは高価格帯を求めるユーザーへとアピールしています)。

中国の様々な顧客層を狙った様々なサードパーティーのストアやソーシャルメディアのアプリへ追加されれば、断片化された状況を自分の事業にとって好ましい方法で先導し、狙った市場へ効果的にアピールすることが可能です。

ミニプログラム(WeChatなどのサービスで利用できるアプリの小さいバージョン)は中国のユーザーがお気に入りのゲームやストアを利用する際にとても人気のある方法となっています。しかし、ミニプログラムはアプリストアのエコシステムの外側に存在しているので、ユーザーが端末へとAPKを通して直接ダウンロードし、その機能を利用できるようになっています。

中国における携帯市場のシェア

HuaweiやOppo、Vivoなどといった企業はすべて中国ユーザーに低コストの端末を提供しています。ですが、そうした端末の勢力は、市場内でSamsungやAppleといった企業が提供する最新のハイエンド端末のスペックを凌駕しつつあります。

これにより様々なアプリが成功することのできる豊かな市場が創出されます。より優れた端末が登場することで、ゲームをプレイしたり、動画コンテンツを消費したり、その他の豊かなメディアコンテンツを視聴するためのより良い環境ができるのです。これは中国においてAndroidがローエンド市場ではないということを意味しています。

 

中国のAndroidアプリストア

それでは中国Android市場においてはどのアプリストアに注目するべきなのでしょうか? まずは、中国で最大規模のストアから始めることをお勧めいたします。以下では、そうした大規模ストアの手短な分析と、どのように異なるのかについての説明します。

Tencent My App / Tencent市場シェア:26パーセント)

TencentのMy Appはかなり大きく差をつけて中国で1番のアプリストアです。インターネット大手企業であるTencentはWeChatなど中国で最も人気のあるアプリをいくつか所有しており、たくさんの成功したモバイルゲームへと投資を行っています。

My Appが低迷することはないでしょうが、ミニプログラムが利用されていることから、WeChatが中国におけるソフトウェアの主要な入口となることはあり得るでしょう。

 

Huawei App Market / Huawei(市場シェア:13パーセント)

Huaweiは現時点で中国において最も人気のある携帯ブランドです。Googleが最近そのPlayストアへのアクセスを取りやめたこともあって、西洋ではその評判は危機に晒されていますが、中国ではライバルであるOppoをほんの僅かの差で抑えて2番目に人気のあるストアとなっています。

Huaweiは中国のAndroid市場においてハイエンドな製品を求める層へとより重点的にアピールしています。しかし、興味深いことに、西洋のデベロッパーにとってもHuaweiは中国市場への主要な架け橋へとなり得ることもあるかもしれません。

西洋におけるGoogle PlayによるHuaweiのストアの利用禁止の結果として、Huaweiはそのストアを西洋製の端末へと統合することになるでしょう。これによりAndroidがAppleのApp Storeと同等のものになる可能性があるのです。

 

Oppo Software Store / BBK Electronics(市場シェア:13パーセント)

Oppo Software StoreはOppoの端末から利用できる公式のアプリ用プラットフォームです。Oppoは世界では4番目、中国ではHuaweiに次いで2番目に人気のブランドです。そのアプリストアの成功は、OppoがHuaweiやXiaomiとしのぎを削る携帯端末市場におけるシェアと深く関連しています。また、OppoはOnePlusという別のブランドを通して西洋でも強い存在感を持っています。ライバルであるHuaweiの座を奪うことができるかどうかが気になるところです。国際的な圧力によってHuaweiが中国市場を最優先にせざるを得ないとなればなおさらです。

 

360 Mobile Assistant / Qihoo 360(市場シェア:10パーセント)

360 Mobile AssistantはHuaweiやOppoといった携帯メーカーにその座を奪われるまでは2番目に人気のあるアプリストアでした。Qihoo 360は中国のインターネットセキュリティ企業で、広く利用されているウェブブラウザを提供しています。信頼されるブランドであるQihoo 360はアプリストアでの成功を手に入れました。そのことは、例え他の企業に追い越されようとも、これからもQihoo 360が足跡を残していくだろうということを意味しています。

 

Baidu Mobile Assistant / Baidu(市場シェア:9%)

Googleは中国で利用を禁止されているため、その座を占めたBaiduが国内における最大の検索エンジンとなっています。Baiduは毎月11億ものアクティブな端末で利用されており、AIアシスタント、検索、そしてもちろん、アプリストアなどをユーザーへと提供しています。

 

MIUI App Store / Xiaomi(市場シェア:9パーセント)

XiaomiのアプリストアはすべてのXiaomi端末で利用できるデフォルトのストアです。Xiaomiの端末が他の端末とわずかに異なる点は、AndroidのOSを独自化したMIUIと呼ばれるシステムを搭載していることです。HuaweiやOppoのように、Xiaomiのアプリストアの成功は携帯端末の売り上げによるものです。Xiaomiは5番目に人気のスマートフォンブランドです。しかし、中国や海外の開発途上市場の顧客に焦点を合わせることで、自社のストアが他とは異なる魅力を持つようにしています。

 

結論

中国のAndroid市場は成功のための真のチャンスを提供してくれます。しかし、そこに入るためには、現地のアプリ経済に関する深い知識、どんな顧客にリーチしたいかというはっきりとした考え、そして成功へと導いてくれるパートナーが必要となります。

自分だけでは、断片化した巨大市場がもたらす経営上の課題を解決するのは難しいでしょう。ですが、正しいサポートがあれば、自身のアプリにとって正しい市場を見つけ、国中のユーザーへとうまくアプリを届けることができるでしょう。