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AIがモバイルマーケティングにもたらすもの

医師、弁護士、運転手、さらにはプロの碁の棋士までを打ち負かしたAI(人工知能)が、私たちの生活や仕事、買い物に革命を巻き起こしています。

世界のAI市場は2025年に191.6億ドルに達する見通しとなっています。医療、販売、パーソナルアシスタント、教育、サイバーセキュリティ、スポーツ、携帯電話などでは、すでに深層機械学習、自然言語処理およびマシンビジョンが応用されています。あらゆるものを巻き込み成長を続けるAIは、モバイルマーケティングにも大きな影響を与えています。

AIはモバイル広告の配信や、モバイル広告への向きあい方をどのように変えていくのでしょうか。私たちはどのようにモバイルマーケティングの最先端を維持していけばよいのでしょうか。今回はこうした点を深く掘り下げてみましょう。

AI大国としての中国

中国は、世界一のAI強国になるべく邁進しています。20177月に中国国務院は、2030年までに1兆元規模の国内産業を創出することを目標としたロードマップを発表し、諸々の政策が順調に進められています。

清華大学が発表した中国AI開発報告書2018によると、中国AI業界は全世界で最も多額のファンディングを行っており、2017年においては全世界投資の48%を占め、米国を10パーセントも上回っています。2017年の中国のAIの市場規模は237.4億元(35.5億ドル)に達しており、研究論文数と引用数も最多で、AI特許も最も多く保有されています

中国国務院の発表によると、21億ドルを投資し北京郊外にAI工業団地を建設する計画が進められており、教育省は今年の4月に5年間にわたるAI訓練プログラムを開始しました。

こうしたAIブームに巻き込まれているのは政府だけではありません。GoogleAlibabaAppleTencentなどの大企業が押しなべてAIに多額の投資を行っています。競争の激しい分野においては自社のアルゴリズムがどれくらいうまく機能するかによって、ビジネスの未来が左右されるのです。

モバイルマーケティングとAIは最高の相性

スマートフォンが生活に深く根ざす中国は、モバイルマーケティングのAIをリードし、競争優位に立っています。China Internet Network Information Centreによると、中国ユーザーの98%がモバイルデバイスを通しインターネットにアクセスしており、アプリの利用にかなりの時間を費やしています。こうしたことがeコマース市場に革命をもたらし、中国をモバイル先進国として知らしめることとなったのは、前回のブログでもご紹介した通りです。

携帯電話が広く普及し、生活のあらゆる場面で機能するスーパーアプリが利用され、そうしたデータを集約することのできる中国は、AI技術にうってつけの環境となっているのです。

TencentWeChatはデジタルワールドへのポータル的存在です。WeChatのメッセージアプリは、毎日のデジタルニーズに応えるワンストップショップとして、106万人のユーザーにサービスを提供しています。アプリを通して、ユーザーは洋服を購入したり、休暇の計画を立てたり、病院の予約を入れたりすることができます。こうした一気通貫型のアプリはスーパーアプリと呼ばれています。

今月初めにニューヨークで開かれたAdvertising Weekにおいて、Tencentのスマート・リテール部門のシニアプロダクトディレクターであるYinin Gao氏は、AIがブランド、マーケティング担当者、小売業者、消費者に新しい形態のコネクティビティと商取引をもたらすと述べました。同社のプラットフォームには106000万人ものユーザーがおり、AIの影響は莫大なものとなりえます。

北京を拠点に活動するAI Superpowers: China, Silicon Valley and the New World Orderの著者であるKai-Fu Lee氏は次のようにコメントしています。「モバイル決済、公共サービス、財務管理、モビリティシェアリングなどのデータを組み合わることで、中国企業はより深く多面的なユーザーイメージを得ることができます。これにより、AIアルゴリズムを進化させ、個々のユーザーに向けてより正確に製品オファーすることができます。現在推し進められているAIの社会実装により、中国経済全体におけるAIのインパクトは急速に拡大し、深化していくことでしょう。」 

AIによる優れた広告エクスペリエンス

広告ブロッカーはオンライン広告の強敵です。ユーザーは広告ブロッカーで、不快なオンライン広告をブロックしますが、AIによる調整で広告エクスペリエンスが改善すれば、こうした行為は減っていくことでしょう。

ユーザーのオンライン上のアクティビティをトラッカーが記録し、AIが高速処理することで、より良い広告の提供が可能となります。アルゴリズムにより、ユーザーの好みに合ったコンテンツや広告フォーマットを展開し、リアルタイムでユーザーの長期的および短期的な関心事をまとめて訴求することができるのです。

このように広告をユーザーの好みに合わせ調整することは、ほんの始まりにすぎません。MediaGammaは、英国政府のイノベーションエージェンシーから、AIをさらに進化させるための助成金を獲得しました。同社はターゲットに合わせた広告のテキストと画像を生成できるようになるアルゴリズムを開発しています。MediaGammaの共同設立者であるWang氏は、「一人ひとりの好みに合ったバナー広告を受け取ることができるようになるかもしれません。」とコメントしています。

広告におけるAIの活用は、広告主のコンテンツのパフォーマンスを向上させ、優れたマネタイズ効率とよりよい分析機能を実現します。アルゴリズムにより、クリックする可能性が最も高いユーザーへ広告を配信することができ、そうでないユーザーへの無駄な投資を回避できます。こうした新しいオートマティックメディアバイイングとプランニングは、手動によるオペレーションを完全に置き換えるものではありませんが、モバイル向け広告代理店は顧客により良いサービスを提供するためにAI技術の導入を早急に進めています。

AIとNativex

Nativexはこうしたトレンドをいちはやくおさえ、壮大なプロジェクトに取り組むことで、モバイルマーケティングにおけるAIの最前線に立ち続けています。広告主とユーザーのマッチングシステムの自動化から一気通貫型のパワフルな機械学習プラットフォームに至るまで、AI技術によるベネフィットを広告戦略において十二分に活用し、評価指標、コンバージョン指標、継続率や支払い率の向上を実現しています。

AIはあらゆる分野に進出しており、その成長はとどまるところを知りません。最新のスマートフォンには機械学習のチップが組み込まれており、AIが私たちの日々のエクスペリエンスを追跡し、調整を行っています。AIはマーケティングを含め、世界中の多くの産業を突き動かす、なくてはならない存在となっています。